EU・ウクライナ連帯回廊:2026年9月最新統計
2022年5月以降、EU・ウクライナ・モルドバが設置した「連帯回廊」の輸送実績と経済的インパクトをまとめた報告。
ロシアの侵略戦争を受け、EUはウクライナおよびモルドバとともに2022年5月、「EU・ウクライナ連帯回廊」を立ち上げた。これは鉄道、道路、内陸水路を活用し、ウクライナの輸出入を維持するための輸送ルートである。2026年8月時点の実績として、連帯回廊はウクライナの輸入の約100%、非農産物の輸出の約90%(黒海経由は約5%)、穀物・油糧種子および関連製品の輸出の約90%(黒海経由は約10%)を支えている。
ウクライナ税関登録データによれば、2022年5月以降、連帯回廊を通じて輸出された物品は合計で約240 million tonnes (Mt)に達する。内訳は、農産物(穀物、油糧種子および関連製品約99 Mtを含む)が約108 Mt、非農産物(鉱石、鉄鋼および関連製品)が約132 Mtである。同期間中、穀物・油糧種子および関連製品の輸出全体(約259 Mt)のうち、40%が連帯回廊を経由し、60%がウクライナの黒海港を経由した。
輸入については、同期間中に燃料、車両、肥料、軍事・人道的支援など約116 Mtの物品を輸入した。貿易額については、2022年5月以降の合計が約324 billion EURと推定され、そのうち輸出額が約82 billion EUR、輸入額が約241 billion EURである。
連帯回廊は、ロシアによる海港封鎖以降、従来の輸送ルートが断たれたウクライナにとって代替手段として構築された。欧州委員会、各国の関係当局、運輸コミュニティが協力し、ボトルネックの解消、交通管理の改善、国境手続きの効率化、インフラ・物流機器への投資などを行っている。この枠組みは、ウクライナの復興およびEU単一市場への統合に向けた長期的接続性の基盤となることが見込まれている。
なお、2022年5月から7月にかけては、連帯回廊が農産物輸出の唯一の選択肢であった。2022年8月に黒海穀物イニシアティブ(BSGI)が開始されたが、2023年7月中旬にロシアが参加を終了したことで同イニシアティブは中断した。その後、2023年8月にウクライナが独自の黒海回廊を開設し、2026年7月にはこのルートを通じて約2.4 Mtの穀物・油糧種子および関連製品が輸出された。
本報告は、2026年10月19日に欧州委員会運輸総局(DG MOVE)が発行した資料である。2022年5月以降のロシアによるウクライナ侵攻および黒海港の封鎖という状況下で、EU、ウクライナ、モルドバが協力して運用する「連帯回廊」の活動実績をまとめている。対象読者は、欧州およびウクライナの公共機関、運輸関係者、および関連する事業者を想定している。
- 自社の物流サプライチェーンにおいて、現在利用しているルート以外に、代替となる輸送経路やバックアップの手段はどの程度確保されているか?
- 国境手続きやインフラのボトルネックが一時的に増大した際、自社のサプライチェーンを維持するための協力体制や計画が存在するか?