GOV.UKにおけるウェブアプリケーション「Static」の廃止と簡素化
英国政府デジタルサービス(GDS)は、ウェブサイトGOV.UKの構成要素であった「Static」を廃止し、技術スタックの簡素化を実現した。
英国政府デジタルサービス(GDS)は、GOV.UKの全ページに依存していたアプリケーション「Static」を廃止した。Staticは2011年に、ウェブサイトの全ページで共通のヘッダーとフッターを維持し、フロントエンドコードやスタイル、スクリプト、緊急時バナーなどの共通要素を管理するために「Slimmer」というツールと共に作成された。当時はコードの重複を減らす目的があったが、時間が経過するにつれ、他のコードベースと動作が異なり、開発者にとって複雑であるという課題が明らかになった。StaticとSlimmerを廃止することで、開発者の時間と労力を削減し、GOV.UKの改善を容易にすることを目指した。
移行は段階的に進められた。2017年にフロントエンドコンポーネントを管理するためのパッケージ「govuk_publishing_components」を作成し、ヘッダーやフッターなどの要素をこちらへ移行した。その後、エラーページを「Frontend」へ移動し、バナー類もカスタムパッケージへ移行したことで、Staticが担う役割は徐々に減少した。GDSの組織再編により、各チームがウェブサイトの特定の領域に責任を持つ体制へと移行したことも、廃止の判断を後押しした。
実際の作業では、まず最も閲覧数の少ないページを提供する小規模なアプリケーションで手法を検証した。ヘッダーやフッターは既にコンポーネント化されていたため、各アプリケーションから直接呼び出す形式へと変更した。また、CSSのコンパイル方法を調整し、一つに統合する修正を行った。残る7つのアプリケーションへの適用にあたっては、約200種類のページタイプおよびそのバリエーションに対し、デスクトップ、モバイル、各種ブラウザでの表示テストを徹底した。
2025年12月の初めに、Staticに依存する最後のアプリケーションの切り替えが完了した。訪問者側の表示や機能、コンテンツには変化はないが、GDS内部では大きな変更が生じた。維持管理すべき大規模アプリケーションが一つ減り、新規および既存の開発者がその仕組みを習得する必要がなくなった。これにより、開発者体験が向上し、システム全体の複雑さが解消された。
本文書は、英国のGovernment Digital Service(GDS)が運営するGOV.UKの技術基盤に関する報告である。対象は2025年12月時点の状況であり、ウェブサイトの保守運用においてRailsアプリケーション(StaticおよびSlimmer)を廃止し、コンポーネントベースのアーキテクチャへ移行することを前提としている。本プロジェクトは、GDSが掲げる「現代的なデジタル政府のためのブループリント」に基づき、技術スタックの簡素化と開発効率の向上を目的として実施された。
- 自社が運営するウェブサイトにおいて、長期間にわたり維持されている共通コンポーネントの管理手法は、現在の開発環境に最適化されているか?
- 現在使用しているシステムの中で、新規の担当者が習得に時間を要する複雑なレガシー・アプリケーションは存在するか?