化学施設におけるテロリスト照会プログラムの失効と現状の課題
米国国土安全保障省(DHS)による化学施設のテロリスト照会プログラムが2023年7月に失効。高リスク施設は自力でのリスク軽減を求められる中、人員スクリーニング手段の欠如が課題となっている。
米国国土安全保障省(DHS)傘下のサイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)は、米国の化学セクターにおけるセクターリスク管理機関(SRMA)として、施設所有者や運営者によるセキュリティリスクの特定および軽減を支援するプログラムの実施を担当してきた。2007年、DHSは高リスク化学施設のセキュリティリスク軽減を目的とした規制プログラムを策定した。このプログラムの一環として、CISAは各施設に対し、従業員および特定の付き添いなしの訪問者について、米政府のテロリスト監視リストとの照合による審査を義務付けていた。テロリスト監視リストとの照合は、民間セクター単独では実施できない固有の政府機能であるため、CISAは施設が利用可能な審査プロセスの選択肢を構築した。
しかし、この規制プログラムの認可は2023年7月に失効した。これにより人員審査を含むプログラムは中止され、高リスク化学施設は現在、自らのセキュリティリスクの特定および軽減に対して責任を負う体制となっている。CISA当局者および選定された民間セクターの関係者へのインタビューによれば、テロリスト審査プロセスへのアクセス喪失は、CISAの規制プログラム中止以降、高リスク施設の所有者や運営者が直面している最も重大な課題である。この事態は化学施設のセキュリティに隙間を生じさせ、実質的なリスクを招いている。
SRMAの責任を規定する法定権限では、SRMAは資産やシステムに対するリスクの特定および軽減を支援するためのセキュリティプログラムを実施すべきとされている。2026年5月時点で、CISAは同機関のSRMA権限を用いて新たな審査プロセスを構築できるか検討中であると述べた。人員のテロリスト審査に関する連邦政府による選択肢がない状況において、施設所有者や運営者は、内部者によるテロ攻撃や重要な国家サプライチェーンの中断から施設を保護するための不可欠なツールを欠いている状態にある。
本文書は、米国における化学セクターの安全管理を前提としている。2007年に策定されたDHSの規制プログラムが2023年7月に失効し、プログラムが中止された後の状況を扱っている。文書内の記述は、2026年5月時点の状況に基づいている。また、テロリスト監視リストとの照合という、民間企業単独では遂行不可能な政府固有の機能へのアクセスを前提とした議論がなされている。
- 自社が保有または運営する施設において、人員の身元を確認するための代替的な手段はどのようなものか?
- テロリスト審査プロセスへのアクセスができない状況下で、内部脅威を特定し軽減するための対策は講じられているか?